えんどう豆はあまり知られていないかもしれませんが、ものすごく長い歴史があり、また、成分的に見ても他の豆類と同じく、とても栄養価が高い食品の一つです。今回はえんどう豆についてお話してみます。
みなさんもよくご存知のツタンカーメン王(紀元前1358年~1349年、エジプトを統治)の王陵の発掘の際に金などの豪華な副葬品と一緒にえんどう豆が発見されました。今から3000年以上も前の墓ですよ!なんかロマンを感じますよね~。メソポタミアで生まれ古代ギリシャ、ローマ時代から栽培されていたえんどう豆。
日本には中国を経て、遣唐使によって9~10世紀ごろにもたらされたといわれています。平安時代の「倭名類聚抄」に「乃良末女(のらまめ)」と記載されています。本格的な栽培は江戸時代に入ってからさやえんどうとして行なわれたそうです。なんか世界史と日本史の勉強みたいです。
明治の後半からはヨーロッパへの輸出用として多く栽培され、昭和初期には3万haになりましたが、現在は北海道の上川地方を中心に数百haの栽培になっているそうです。現在はほとんどが輸入されカナダ、イギリス、ニュージーランドなどが産地です。
話は戻りますが、前述の王陵の発掘に携わった関係者が次々に原因不明の死を遂げたのがかの有名な「ファラオの呪い」だということもお忘れなく!!(ちょっと怖い話ですね。)3000年の歴史を見続けてきた世界最古の豆といわれる「えんどう豆」、味わい深いですね~!
「えんどう豆は食物繊維が多い!」ということはなんとなくわかりますよね。えんどう豆の乾物の状態で100g中17.4gと豆類の中でも高い含有量を誇っています。
糖尿病の食品交換表の中にも食物繊維の多い豆類としてえんどう豆は取り上げられています。しかし意外や意外!えんどう豆はタンパク質も豊富に含まれているのです。魚や、牛肉と比べても含有量は多く、貴重な蛋白源なのです。
また、成長期には欠かせない栄養素のカルシウム、カルシウムと結合し骨や歯を形成するリン、赤血球を作るのに必要な鉄、余分な塩分を排出する利尿作用のあるカリウム、脂質や糖質の代謝を盛んにして体の抵抗力をつけるビタミンB群なども魚や牛肉と比べ多く含まれており、実はえんどう豆は非常にバランスの取れた健康食品だったのです。
えんどう豆の成分比較表 (可食部100g中)(五訂栄養成分表) |
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えんどう豆 | 魚(あじ) | 牛肉(ヒレ) | |
熱量 | 352k cal | 121k cal | 352k cal |
タンパク質 | 21.7g | 20.7g | 19.1g |
カルシウム | 65mg | 27mg | 3mg |
リン | 360mg | 230mg | 180mg |
鉄 | 5.0mg | 0.7mg | 2.5mg |
カリウム | 870mg | 370mg | 340mg |
ビタミンB1 | 0.72mg | 0.10mg | 0.09mg |
ビタミンB2 | 0.15g | 0.20mg | 0.24mg |
食物繊維 | 17.4g |
えんどう豆の種類 | |
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豆苗(トウミオウ) | えんどう豆の新芽の部分です。中国では古くから野菜として食べられていました。ごま油で炒めて、塩コショウで味付けするとおいしいそうです。 |
さやえんどう | えんどう豆が若いうちに採ってさやのまま野菜として食べるものです。おなじみの別名「絹さや」です。鮮度がいいと、さやの表面が絹づれに似た音がするということで名づけられたといわれています。 |
スナックえんどう | アメリカから導入された品種です。グリンピースをさやごと野菜として食べられるようにしました。豆が大きくてもさやが柔らかいのが特徴です。 |
グリンピース | 成熟しないうちにさやから取り出したみどりの豆です。混ぜごはんとして食べるのがポピュラーです。 |
えんどう豆 | いわゆる成熟したえんどう豆です。みつ豆や甘納豆、また塩豆や五色豆などの豆菓子として幅広く食されています。 |